動物たちの進化は種の保存を目的として、健康な生命の維持のために、数百万年という悠久の期間を費やし成し遂げられ現在も継続している。この生命の進化を維持させるためには、人間がこの地球の環境破壊を食い止めることが条件となる。
肉食動物の場合、最良の「食」を得る目的をもって、捕食する動物の狩を容易にするための身体器官を発達、進化させなければならなかった。
肉食動物も世界中に分布していて、それぞれの捕食環境に適合した身体の機能を発達させなければ絶滅してしまうこと必至なのだ。
犬の種の中で、サイトハウンドと分類されている一群がいる。見通しの良い、例えば砂漠の多い地域環境の場合、獲物を臭いで追跡するのは困難であるため、視力を発達させ、遠くの小さな獲物でも見つける能力と、スポーツカーのような俊足と体型を身に付けなければならない。そのように進化したのである
グレーハウンド、イタリアングレーハウンド、ウィペット、サル-キ,ボルゾイなどが代表的犬種だ。
私は以前、グレーハウンドをペアで飼育していたことがある。
ある時、かなり強い台風が襲来した。夜中であったが、心配で犬舎に向かったところ何頭かの犬が恐怖で吠え出していた。これ以上放置するとケージの中で暴れだし怪我をしたら大変だと思い、数頭の子をケージから出し、犬舎から事務所に移し、私も事務所に泊り込むことにした。
ソファで横になっていると、グレーハウンドの雄の一頭が台風の風の音に怯えた様子で、おづおづと近づいてきて私の顔を覗き込んだ。
その時の、猫も、また馬の眼も美しいが、また、それと違った、語りかけているかのような感情に溢れ、底知れぬ透明感を湛えた美しい眼の輝きが、今も私の目に焼きついて離れない。
私は翌朝まで一睡もしなかったが、傍らですっかり安心してスヤスヤと眠るグレーハウンドとぴったりと添い寝することになった。このようなことは最初で最後の体験であり、この出来事によって、私の犬キチ振りは、いっそう磨きが掛かることになった。