間違ったRAW FOOD

 大震災の発生以降これまでの間、様々な考えが経巡った。
 だからどうしたのだといえば、あくまでも私の個人の問題であり課題であるに過ぎないわけだから、この場に取り立てて申し述べるほどのことでもない。ただ1点、仕事の面において惰眠をむさぼっていた感のあるところ大震災後数日してから一挙に覚醒し、決意を新たにしたことの真意についてはどうしてもお伝えしなければならないという思いに立ち至った。110505a1

 10数年前私が、犬や猫たちの食餌にはRAW FOOD(生食)が最適であり、なお、生で与えられる獣肉は、その安全性、そして栄養効果から考えても「馬肉」に限る、ということの言い出しっぺであり、これまで愚直に過ぎるとも批難を受けながら、その商品化と普及にまい進してきたつもりでいる。
 生来、競うことが苦手であり商売っ気も無いため、これまで、ペットフード業界などの情報はほとんど耳目に留めるようなことはなかったし、ここのところ弛みきっていたと言えばその通りだったと思っている。
 しかし、このままではいけない。そう思ってこのところ同業者関係のネット上での情報を検索してみて驚いてしまった。
 
 私がこの仕事を始めたきっかけは、犬や猫たちの食餌、いわゆるペットフードがあまりにも劣悪で危険であるところから、その食害によって多くの疾病が引き起こされている状況を憂いたことによる。
 そこで100CLUBを創業し、RAW FOOD(生馬肉食)を商品化した。
 そして従来のペットフードが如何に危険な食餌であるか、何故生食であり何故馬肉でなければならないのか、その理由について、これでもかというほど説明を尽くしてきた。そして、そのコンセプトは創業当初から一切ぶれてはいないつもりである。
 
 ところが、後発の同業各社や手作り食などを推奨している方々の中には、同じRAW FOODではありながら、100CLUBの考え方には反する商品が多く出回っていることを知った。
 犬や猫たちの食性にとって最良の食餌が生馬肉であるとすれば、それ以外の肉では代用にはならないのではないか。
 100CLUBが馬肉以外の肉を用いないのは、犬や猫たちを食害から守ることを目的の第一義として捉えている以上、鶏肉や牛肉や鹿肉などを生で与えることはとんでもない選択だと考えているからだ。
 
 例えば、オーストラリア発のRAW FOODでは、残念ながら馬を食べることをはなはだしく忌避する食文化を持つお国柄だ。イルカや鯨、そして馬肉を食べる日本の食文化に対し目くじらをたてるのだから、オーストラリア発の RAW FOODに馬肉が入っているわけがない。したがって牛や豚、そして鶏肉やカンガルーという具合になり、まるで日替わり定食のようなレシピになってしまう。
 
 余談になるが、オーストラリアではカンガルーを観光資源の目玉とすることを目的として、カンガルーの天敵である希少な犬「ディンゴ」を虐殺した。その結果、カンガルーが異常に増え、オーストラリアの砂漠化に一層拍車がかかってしまった。
 そして今は、一度の交配で3頭の子を宿し順繰りに生んでいくという有袋類動物独特の繁殖能力をもって増えすぎたカンガルーを大虐殺をしている。
 そのカンガルーをペットフードにしようという訳だが、全く同じ理由で日本の鹿も大増殖中で、ペットフードへの販路を求めているのだ。
 困ったときはペットフードに、といういつもながらの図式なのだ。
 
 牛、豚、鶏は厚生労働省やWHOからアレルギーを引き起こしやすい食材として特定され警告が発せられている。
 巷間、同じ肉ばかり食べさせているとアレルギーを引きおこす、という説が流れているようだが、上記の肉を食べさせ続ければそのようなことが起こるのであって、馬肉を一生食べさせ続けたところでそんなことにはならない。
 毎日同じ食事では犬や猫たちが飽きてしまうのではないかという考え方も間違っている。人間のように食に対し美味いのまずいのといった贅沢を云わないところが、犬や猫たちの偉いところなのだ。
 
 私が目差した、適正な食餌によって犬や猫たちを病気にさせない、という思いは、少数ではあってもRAW FOODが普及することには繋がったが、はなはだ誤った形で広まってしまったと言わざるを得ない。
 このままではいけない。
 もう一度初心に返って、馬肉をはじめとする全ての商品を再チェックし、より品質の向上を目差し、なお、価格の面も見直し、一層の正しい普及に努めていかねばならない。

110505b1 ここまでコラムを書いてきた途中、激安焼肉チェーンが、とうとうユッケで集団食中毒事件を起こしてしまい死者まで出してしまった。
 言わんこっちゃない。
 厚労相をはじめ、「食」に関連する公的機関が発表しているように、生肉食を認可しているのは馬肉以外には無いこと。そして牛・豚・鶏がアレルギー特定食品であること。これらの情報を総合的に判断して、人間は無論のこと、家族である犬や猫たちにも馬肉以外の食肉を生で与えることはきわめて危険な食の選択であると言えるだろう。
 野生の鹿肉は、生で食べることで毎年のように死亡者が出て、なおE型肝炎になるリスクがきわめて高いことが知られている。
 牛肉、羊肉、鹿肉などの反芻動物や鶏肉を生で食べる危険性は計り知れないのだ。
 
 私は、馬鹿の一つ覚えで、これまでRAW FOOD、そして馬肉一筋でで十数年やってきて、振り返ってみるとRAW FOOD SHOPは増えて良かったと思っているのだが、生肉なら何でもありで、犬や猫たちの「食」に馬肉以外の食肉を与えていたら、とんでもない事が起こってしまうのではないだろうかと懸念しているし、すでに起こっているかもしれないのだ。
 繰り返し云わねばならない。
 馬肉以外の生肉食を犬や猫たちに与えるのは止めましょう。

 
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