ふたたびの挑戦 そのⅠ

 或ることが気掛かりになりだしてから、かれこれ足掛け三年にもなる。
 そうなると生来の悪癖で、何かにつけてそのことばかりが膨らんで、ほかの事がまったく手に付かない状態に陥ってしまう。
 その、或ることというのはシャンプーと石鹸のことだ。
 もう、頭の中が泡だらけになってしまった。
 何故そのことがこれほど気掛かりになったのかと言えば、犬や猫たちの皮膚病が相変わらず拡大している事態を憂慮したからに他ならない。
 
 これまで、100CLUBの仕事を通じて、RAW FOOD(生馬肉食)により皮膚疾患が改善する多数の事例が実証された。また免疫力が向上することにより予防効果のあることも確認されている。
 それでもなお、皮膚疾患の原因も数多くあって、容易に完治しないケースもある。
 不幸にも、そのような疾患を持ってしまった子たちには、獣医師による対症療法(主にステロイド剤の使用)以外に頼る道はなく、そうなると皮膚疾患よりも更に重篤な疾患に進行していくという高いリスクが避けられない。
 このようなリスクを避けるためには、絶対に皮膚疾患を発症させないことである。

120611a1

 その第一の方法は、先に述べた通り、肉食動物である犬や猫たちの食性に従って、RAW FOOD(生肉食)を与えることだ。
 そして、その食材は馬肉に限られる。
 RAW FOOD(生肉食)でも、経済動物である牛・豚・鶏などは、厚労省で指定されたアレルギー特定食品であるため、アレルギー性皮膚疾患を起こさないための健全な食餌には向いていない。
 そもそも、経済動物は健康で長生きさせることを目的として飼育されているのではなく、一日も早く商品として出荷すべく、濃厚飼料、そしてホルモン剤、抗生剤が飼料に配合され与えられている。そのため、この種の肉食に偏った食事によって発がんのリスクが高まることさえも警告されている。
 この点において、犬や猫たちの毎日の食餌についても、牛・豚・鶏は無論のこと、小麦や大豆などのアレルギー特定食品は与えるべきではないと考えられる。
 また、羊や鹿肉も反芻動物である以上、生で与えることは絶対にできない。
 
 馬の飼育は生理上、経済動物のような過密飼育が出来ない。広い牧場を走り回り、飼い葉を食べて育っている。そのため食肉用の家畜としては生産効率が悪く、日本では食肉用の馬は生産されることがなく、競走馬が転用されている。
 一部で、毎日馬肉ばかり食べているとアレルギーになってしまう、との説があるようだがそれはとんでもない誤りである。牛・豚・鶏などのアレルギー特定食品を与えるからアレルギーを発症するのである。
 このような理由で、動物園においても肉食動物の食餌は、一生馬肉であることは、このコラムにも繰り返し書いてきた。
 
 その第二は、皮膚、被毛の手入れをまめに行うことだと思う。
 昔は、犬や猫たちには汗腺がないのだから身体はあまり洗わない方が良い、とまで言われてきた。
 本当にそうなのだろうか。
 確かに、人間と同じ汗腺(エクリン汗腺)は肉球部分にしかないのだが、たんぱく質、糖類、鉄分、脂質、脂肪酸、アンモニアなど老廃物を分泌する汗腺(アポクリン汗腺)は毛穴と直結し全身に分布している。
 また、皮脂腺も同様に全身に分布し脂肪分を分泌し皮膚を保護している。
 このような分泌物の多少には個体差があるにしても、湿気の多い部位は雑菌の棲み家となって、さまざまな皮膚疾患の原因となり得ることは疑う余地のない話なのではないだろうか。
 犬や猫たちの皮膚を清潔に保つことの重要性は、このような理由による。
 
 そこで私は、月2回程度のシャンプーを怠らないことをお薦めする。
 ほとんどの人は、ほぼ毎日風呂かシャワーを浴び、頭も洗うと思うのだが、犬や猫たちについてはどうだろうか。
 これほど皮膚疾患が蔓延している事態を考えたとき、被毛と皮膚を清潔に保ち、なお、その状態の観察を怠らないことを習慣付けることで、万病の元となる皮膚疾患を撲滅することが可能となるのではないだろうかと私は思う。
 
 ところが、この犬、猫用のシャンプーが大問題なのだ。
 大問題だからこそ、足掛け三年もの間悩み続けてきたのだ。
 例えば、どれほど安上がりだとしてもペットフードを常食にしている人はいないだろう。
 そんなものを食べれば身体に害を及ぼすだろう、と誰もが考えるのではないか。
 あるいは、ペットフードは犬や猫たちにふさわしい栄養成分が配合されたものであるから、人間には合わないと考えるからなのだろうか。
 また同様に、犬、猫用のシャンプーを選んで髪を洗う人もいないと思う。
 そもそも犬や猫用のシャンプーというのは人用とどこがどのような理由によって違うのだろうか。
 ここから先は、飛び切り上質な100CLUBのオリジナルせっけん、そしてシャンプーを創り上げてみようと決心する、その過程をつまびらかに書き綴っていこうと思う。

 
scroll-to-top