馬肉と双璧の食餌

もう何年経つのだろうか。

多分、18年以上も前の寒い冬のことだった。

私は、初めて夜行バスに乗って、新宿から雪深い信州へ向かった。

馬肉の商品化は、この時からスタートした。


商品が完成するまでには、それからおよそ1年を要したと思う。

自分が飼育している犬たちの食餌なら、経験上、生馬肉を与えることに何のためらいもなかったのだが、それを商品化して愛犬、愛猫家の皆様に販売するということの責任は、それまでの様々な体験を以ってしても、例えようもなく重いものであった。


犬や猫たちが生涯健康であって欲しい。

それは飼い主の、すべての皆様の共通の願いに違いない。

そうであるならば、飼い主として犬や猫たちに対して、やってあげねばならない最も重要なことは、適正な食餌の選択ということになる。

肉食動物にとって必須の充分な栄養価。ケミカルフリーの安全性・・・・・・

私は、それが「馬肉のRAW FOOD」であると18年もの間、たった一人で言い募ってきたつもりでいたのだが、気が付けば多くの同業者ができていた。


その現象についての私の考えは、その分、多くの犬や猫たちの健康に寄与したのではないかと肯定的に捉えてはいるが、反面、実にいい加減ででたらめな情報、そして質の悪い馬肉も目に付いてきた。

そして現在、この2年ほど前から、国産、輸入馬肉の原料が超品薄になって、皆様のご注文にとても応じきれず大変なご迷惑をお掛けするような事態に陥ってしまった。


加えて価格の高騰という問題も浮上した。その理由についてはここで言っても始まらないが、そんなことより、飼い主様は無論のこと、この食餌を待っている犬や猫たちのことを思うと心苦しく堪らない気持ちで一杯になる。


この事態を放置して、これまで手をこまねいていた訳ではない。

そうではないけれど、いったい、馬肉のアイテムに勝るとも劣らない食餌とは何なのだ。その答えは容易に見出せるものではなく、馬肉を商品化する時以上に悩み抜き、また考え抜いた。


その結果、先日、最終形のサンプルが出来上がった。

何人かのお客様にもモニターになっていただいたが、そのご報告はいずれも上々だった。馬肉に匹敵する自信満々の新商品が完成したのだ。


しかし、完成したのは商品の中身で、これからは商品のネーミング、商品説明、HPでの告知や何やかや、やらねばならないことが満載で、いったい何時になったら商品になるのか先が思いやられる。


これまでも、実に多くの方たちにご協力を仰ぎ、そのおかげで何とかここまでこぎつけたのだが、これからもそこのところは同様で、多くの方たちの力を借りなければ商品化まではたどり着けない。

ところがショップからは悲鳴が挙がっていて、毎日のお客様へのお詫びの電話やメールで精神的に疲労困憊しているという。

それは私も同じ気持ちで、だからこそ新商品の開発に全力を傾注してきた。


そこで、もう中身は完成しているのだから、格好はいずれにしろ情報を明らかにしたうえで「新商品発売記念キャンペーン」をやってみたらどうかという考えが頭をよぎった。

いや、「お詫びのキャンペーン」か「謝恩セール」かも知れない。

どれだけ謝っても謝りきれないほどの気持ちを込めて、一刻も早く馬肉と双璧の新商品をお届けしたいと思っている。

 
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