「最後のオリジナル商品」

先月の石巻に続いて、一昨日は塩竃に出掛けた。

昔なら夜中でも車を飛ばして一人でも飛んで行ったものだが、今の私にはとてつもなくハードな行動で、付き添いなしではどうにもならない。

そんな思いをしてでも、どうしてもやらねばならないと勢い込んでいるのには訳がある。


大震災の年、9月だったと思うが塩竃に行ったことがある。

それは、震災があって一週間を過ぎたころ、突然「私、生きてます!」という驚きのメールが飛び込んできたのだ。塩竃に住む懇意のお客様のKさんからだった。


すぐにでも飛んで行きたかったのだが、しばらくは来ないでください、ということだったので塩竃に行ったのはその年の9月になってしまったのだった。

しばらく来ないでくださいと言ったのは、余りの街の惨状を見せたくなかったとのKさんの思いだったことを後に知ることになった。


また、ショップのお客様の(その時はお客様ではなかったのだが)I さんは、初めてショップに来られて、震災で保護されている犬や猫たちに100CLUBの商品を送ってやって欲しいといわれ、大量の馬肉のジャーキーを福島の保護センターに送られた。


このたびの石巻、塩竃での仕事の、そのきっかけはあくまでも偶然なのだが、このように考えてみると、東北大震災を期に何となく不思議な縁を感じざるを得ない。


いま、創業以来、ちょっと気合を入れた新商品の研究開発に着手したところだが、やること成すことが仕事の分野それぞれに、抜き差しならない「縁」というものを意識させられる。


私は、たびたび仕事は何をやっているのですかと尋ねられることがあるのだが、いつも一瞬言葉に詰まる。

犬や猫の食餌の製造販売というのが正確な言い方なのかも知れないのだが、どうもその言い方がしっくり来ない。

ペットフードを作っているという言い方も、従来のペットフードを否定し続けているので少し引っかかる。

馬肉やでもないだろうし、本当に困ってしまうのだが、何しろこんな年になって犬や猫に夢中になっていること自体、何となく恥ずかしいところがあることも事実だ。

 
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