理屈からの解放

もう5~6年、iPodを愛用していて、一日おきの病院ではそこにCDから取り込んだ音楽を聴いている。

昨日、そのiPodで、自分としてはとんでもない大発見することになり、その興奮が未だに冷めやらないのだが、息子に、そんな事みっともないから他人に話さないほうがいい、と言われたのだが、こんなにすごい体験を話さないわけにはいかないので、ここに書き留めておくことにした。

これまでは、iPodに取り込んだCDを一枚ずつ、一日に五枚くらいを聴いていた。
ところが昨日、エラ・フィッツジェラルドの「ライブ・アット・カーネギーホール」を聴いていたところ一曲目が終わったら、急にセロニアス・モンクのピアノがポトッ、ポトッと雨だれの音のように聞こえてきた。
あれぇー、と思っていたら、次にキャノンボール・アダレイの流麗なアルトサックスになった。一体どうなっているんだ。

私はこれまで、iPodにシャッフルという機能が付いていることを全く知らなかった。
何らかの誤操作で、そのシャッフルの設定をしてしまったのだ。
そこからは、次は何が始まるんだろう、というワクワクした気持ちになって少々興奮した数時間を過ごすことになったのだ。
グラミー賞やジャズフェスタブルどころではない。大好きなアーティストが一曲づつ次から次に登場して、未体験の大ジャズ祭を鑑賞することになったのである。

それは、それぞれのアーティストのCDを一枚ずつ順に聞いているのと全く違った世界を体験したことで、アーティストの個性、またそれぞれの楽曲の味わいが際立ち、聞きなれていたはずのものが驚くほど新鮮に感じられたのだろう。
アメリカの自由を象徴するジャズという音楽。それを60年も聴き続けてきた自分が、くだらない理屈抜きでようやく自由にジャズに触れることができたよくな気がしている。