犬は自由気ままが幸せらしい

スタッフ犬、シェパードの「レイ」は、シェパード一筋に何代も飼い続けたOさんから離乳後まもなく預けられた。
私が提唱している生馬肉食だけでシェパードが育てられるものかどうか見せてくれ、という理由だった。何十年もシェパード界に関係していて、その世界では名だたる方だが、これまで馬肉一本で育てた人はいないのだそうだ。
私も、かなりの犬種を扱ってきたがシェパードは初めての体験だった。しかもその時にはすでに秋田犬四頭、スピッツ一頭を飼育していて、そこにシェパードも入れることについては、多数頭を飼育するための設備があるわけでなく、事務所にゴロゴロしているだけなのだから少なからず迷いもした。
しかし、飼ってみたい誘惑には勝てず、その申し出を引き受けてしまった。

お金で買い求めたのではなく、頂いたというか預かったというのかちょっと不思議な気持ちだったが、その責任は重く受け止めざるを得ないと感じた。
シェパードに詳しい犬友達に相談したところ、シェパードは普通の犬とは違う。しっかりしつけを入れなければとても飼いおおせる犬種ではない、良かったら通いでしつけを引き受けてもいいとまで言ってくれた。
結局、いろいろ考えた末にその申し出は断ることにした。

犬は犬じゃないか。犬種によってその特性に違いはあるのだろうが、でもやっぱり犬には違いない。これまでどんな犬種であろうともトレーニングやしつけなどやったことはない。それはブリーディングという仕事柄、設備さえ整えておけば何の問題はなかった。
そして、生馬肉でシェパードが上手く育つかどうか、そのことには確信を持っていた。
このあたりの話はコラム「ハリケーン・レイ」に詳しく書いてある。

「レイ」は100CLUBの馬肉食で、掲載した写真のように病気ひとつせずに見事に成長した。しつけもトレーニングも何にせず自由気ままに育ててきたのだから、競技会では出場資格も得られなかったが、犬としてどの子たちにも負けているとはとても思えない。
犬はできる限り自由にしてあげたい。
それが私流の犬の飼い方であり、今、このショップでも秋田犬の「珀」と日本スピッツの「雪之丞」が自由気ままにごろ寝している。
ただ、これまでの長い犬養い人生の中で、たった一度だけ「レイ」の頭を殴ってしまったことがある。
その罰が当たって、私の右手の中指は折れ曲がったままで、その曲がった指を見るたびに「レイ」の何とも言えない表情がよみがえってくる。
今、この瞬間発見があった。
私はPCのワードしかやらないがキーボードを打つ指は2本しかなく、一番多くというか使う指のほとんどはこの折れ曲がった指であることに初めて気が付いた。

 
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