永遠の恋情

 <!–「犬を病気にさせない100の法則」などという大風呂敷を拡げてから完成しないまま数年経ってしまった。
 そんな法則なんてある筈はない、と思われるかもしれないが、100CLUBの理念からいっても、何としても100%犬や猫たちを病気にさせたくないという強い念願を明確に示さねばならないと願っている。
 そこで一念発起して、再びコツコツと書き進めて65章くらいにまでは書き終えた。
 
 ところで、この作業のために、間違ったことを書いてしまったのでは話にならないと思い、裏付け資料を求めて、当初インターネットの検索情報で何とかなるのだろうかと思い検索にはまり込んだ。その結果、デジタル、つまり、点の情報ではほとんど役に立たなかったどころか、点と点の情報を線に繋げなければ論が成り立たないことに気が付いた。
 その上、点の情報も玉石混淆で、裏付けの裏付けを繰り返す始末となり、とうとうギブアップしてしまった。
 しばらくの間は頭が混乱し、自分を取り戻すまでに相当な時間を費やしてしまった。
 結局、新たに20冊くらいの本を読む羽目になり、それはそれで大いに収穫があったのだから結果オーライといえるかもしれない。
 そんな苦悩を経て、何とか70章まで書き終え、改めて1から読み直してみると、あちこちに至らないところが目に付き、改稿に改稿を重ねる結果になってしまった。
 本を読むことは何の苦もなく、時間を忘れてしまうくらい楽しくてならないのだが、自分の拙文を読み返すことの辛さは誰にも計り知れないものだろうから、どこにも愚痴の持って行き場がない。そんなことにのたうち回っている内、せっかくの禁煙も、煙草を吸わないと一行も進まないというような事態にまで陥ってしまい、とうとう禁を破らざるを得なくなり、そのことも周囲では非難ごうごうなのだが、煙草で命を縮めるよりも脱稿することの方がよほど意味のあることに違いないと勝手に思い込んでいる。
 また、年明けには、HPのリニューアルも果し、「100の法則」も完成し披瀝することが出来るという目論見も見事に崩れ去った。
 新年早々ぼやいていても始まらないのだが、お約束のように何事も思うように成ったためしがない己に、今更ながらあきれ果て頭の中に霞がかかってしまったような日々を過ごしていた。
そんな–>年の瀬も押し詰まったころ、何とも喜ばしい1通のメールと、お願いしてあった2通のメールが立て続けに送られてきた。
 
 それは、長いこと、私の考える犬たちの食餌管理を実践されているお客様からのメールで、なお、それぞれに愛犬の写真が添えてあった。
 
 一頭は、兵庫県にお住まいのHさんの愛犬で、犬種はボルゾイだ。
 Hさんは、サプリメントに至るまで、私の推奨する食餌管理を完璧に実践されていらっしゃる方なのだが、これまでお会いしたこともなく、愛犬がボルゾイである事は知っていたが見せてもらうのは今回が初めてだった。
 私はボルゾイを飼ったことはないが相当な数のボルゾイは見てきた。その経験からいってもこれほど素晴らしいボルゾイは見たことがない。まだ3歳だということだが、5歳くらいになると一層の風格も出て美しい犬になることだろう。

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 二頭目は、東京在住のAさんの愛犬でドーベルマンの「アリス」だ。
 一昨年、Aさんは先に逝ってしまった、やはりドーベルマンの「アリー」と瓜二つのドーベルを手に入れた。その際私は、離乳が始まったら出来るだけ早く飼い始め、生馬肉で育て上げることを薦めた。AさんはHさん同様、100%生馬肉食による食餌管理を実践されている。「アリス」は毎週のようにショップにAさんと一緒に見え、スタッフ犬のシェパードの「レイ」と遊んでいるので、その成長はつぶさに見届けてきた。
 文句なしの出来だと思う。

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 三頭目は、東京在住のOさんのシェパード「チャンプ」だ。
 「チャンプ」は昨年、11月18~19のJSV日本ジーガー展、12月6日PDオールジャパングランドビクター展、12月JKCジャパンドッグショーを征覇し15連勝を飾ったという知らせが届いた。このまま行けば「チャンプ」の名の通り、今年の日本チャンピオンの可能性が極めて高いことになる。

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 このような、眼を見張るような美しい犬たちを作り上げるためには、何よりも生体が健康でなければならない。 
 健康な生命にこそ美が宿るのだ。そして、その健康を維持、向上を図るために重要なのは、肉食動物の犬たちにとっての正しい食餌管理によって、それぞれに備わった生命力、資質を100%発揮させてあげることだ。
 加えて、最重要なファクターは、飼い主さんの強い愛情に他ならない。
 毎日の運動、犬にとって快適な住環境、スキンシップ等々。
 飼い主さんの、手塩にかけた愛情の発露が名犬をつくりだす最重要なファクターであることは言を待たない。
 私の知る限り、このお三方の場合、犬たちに対する愛情というよりも、むしろ恋情といった方が適切な言い方ではないかと思っている。
 男と女の恋情は3年で終わる、というのが学問的には定説になっているようだが、犬たちへの恋情は命ある限り永遠であることを、改めて思わせる出来事だった。

 
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