ペットフードで健康になる・・・?

ペットジャーナリストの坂本徹也さんが「ぺットフードで健康になる」というル0504051ポルタージュを出版された。
坂本さんは、より良いペットフードであることの三つの基本条件は、国産品であること、酸化防止剤など添加物を用いていないこと、素材を100%開示していることだ、と考えているようだ。
私は、この点において、坂本さんの意見に大賛成である。
輸入品の場合、長期間の輸送もあり、製造時から消費時までの期間が長く掛かってしまうため製品の劣化が進む。したがって劣化防止、特に酸化防腐剤を多量に添加せざるを得ないので、その必要性の低い国産のフードを選ぶべきだと思うし、素材を明らかに出来ないフードなんて、大事な愛犬・愛猫に、毎日、毎食、心配で与える訳にはいかないのは当然のことだと思う。

人間の食品は、その素材について情報開示が求められ、なお、 BSE問題以降トレーサビリティーも義務付けられようとしているし、国際的に各関係行政機関により法的安全基準が設けられている。
また、人間の食する家畜の飼料にも、飼料安全法が定められているが、ペットフードという飼料には、なんら法的安全基準も設けられてはいない。
このことによって、ペットフードは、言わば何でも有りの極めてアナーキーな世界になっていて、坂本徹也さんが主張するような正論に耳を傾けるようなメーカーなど皆無に近いし、迷惑極まりない話であるに違いない。

 家畜にしても穀物にしても、およそ食材は全て人間のために生産されている。
誰一人として、犬や猫のフードのために農業や漁業を営む人はいない。
よく100CLUBの馬肉はペット用ですよね、と言われることがあるが、ペットフード用に食用馬を飼育している者がいるはずが無い。
そんなことをしていたら酪農家の生業として成り立つはずがない。

 例えば、過日、鳥インフルエンザ騒動の際、 A養鶏場でバタバタと鶏が死にはじめた時に、鳥インフルエンザの疑いが濃厚であるにも関わらず行政に申告せず、密かに死鶏をペットフードメーカーに売っていたことがニュ-スになった。
家畜が飼育中に死んだ場合、何らかの病因があるわけだから食品衛生法上、食材として使用してはならないことになっている。
したがって、鳥インフルエンザの発覚を恐れ、なお死鶏の処分には大きな費用が掛かるため、いつものように、その様な代物を使っても何のお咎めも無いペットフードに使ってしまおうということになった。
現実には、このようなことがニュースになることがおかしいのであって、ペットフードの原料に死鶏が使われることなどごく当たり前の話なのだ。

 このように、どこのペットフードがいいとか悪いとか、そんなことを言い募ってみても、法的安全基準がない以上、所詮目くそ鼻くそ論議に過ぎないのであって、人間が食べることの出来ないもの、あるいは食品残渣物によってペットフードは作られている。
言い換えると、犬や猫たちは膨大なコストの掛かることになる食品廃棄物の処理を担わされている悲惨な動物たちといわねばならない。
坂本徹也さんは、おそらくこのような現状に対し相当憤っているように見受けられるのだが、人間に隷属している犬や猫たちに、人間と同質あるいはそれ以上のフードを与えるべきだと考え、それを実践しているペットフードメーカーがはたして存在するのだろうか。また、犬や猫たちを家族同様とする飼い主さんたちも、儲け主義の獣医やペットフードメーカーの甘言にたぶらかされ、愛して止まない犬や猫たちに、様々な疾病に冒されても当然の劣悪なフードを何の疑いもなく与えているのが実情なのではないだろうか。

 「ペットフードで健康になる」では、十数社の国産ペットフードメーカーと数名の良心的な獣医師の談話も紹介されている。
ところが、よくよく考えてみると、この本で100CLUBが紹介されていることは腑に落ちない点のあることに気が付いた。
なぜなら、私たち100CLUBはペットフードメーカーでもないしペットフードを販売しているということでもない。
ただ、犬や猫たちは肉食動物(捕食動物)だから、その食性から考えても、当然、生食でなければならないし、安全性からも人間の食品レベルの食肉、そして栄養面の質、量、バランスから馬がベストであることを提唱し、単に、その素材を販売している馬肉屋に過ぎないのだ。
なおかつ、犬や猫たちに人の食用馬肉を使っているのだが、人並みの料金設定が出来ず、したがって業者に卸すほどの利益もない。

 そのように考えてみると、これほどのペットブームと言われる渦中にありながら、ペットフード、ペットグッズ、そして犬・猫の生体も取り扱っていないのだから、いつも青息吐息で貧乏しているのは止むを得ないことだと、あらためて何となく納得させられたような気がする。

 
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