ドールのレシピ

「ドール」 ( 別名:アカオオカミ ) というイヌ科の動物に興味を覚え、その飼育状況について話を聞くため、久しぶりに上野動物園を訪ねました。

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 岩や樹木、そして巨大な池を自然に模して配した、優に300坪はあると思われる敷地に放たれた5頭の「ドール」は、アーチ状に作られた偽木に登り、岩に駆け上がり、時には池に飛び込んだりと、一時も休まず機敏に動き回っているその精悍な行動は、野生のもつ凛々しい生命感に溢れ、うっとりするくらい美しい姿です。

 「ドール」の食事のレシピは、生馬肉、生餌のウサギ ( 週1回 ) 、カルシウム補給は鶏頭で、一日1回 ( 夕刻 ) の給04060631餌、給餌量については飼育担当者の観察にもとづいて決めていて、断食を一週間に1度行っているそうです。

 動物園では、それぞれの動物にとって自然のままの食事を与えることを理想としているのですが、現実問題として、新鮮な骨や内臓など全ての部位を馬で揃えることは、コスト、安定供給面でなかなか難しいため、止む無く代替の食材(鶏頭)を使わざるを得ないとのことです。

 犬や猫たちの一生を健全に飼育していくためには、犬や猫という動物のもつ本来04060641の特性について正しく理解することが不可欠です。

 その最良の方法は、犬や猫たちの祖先であるオオカミや虎など、イヌ科やネコ科の野生動物の生態について学び、我々人間との違いを明確に認識することが適正な飼育の基本になるのではないかと思います。

 幸い、それらの野生動物の生態、行動について研究した先人たちの本が翻訳され数多く出版されており、犬や猫たちを飼育するからには必読書といえる本もありますが、上野動物園、あるいはズーラシアで「ドール」を一日見ているだけでも、犬の行動原理について多くのことを学べることは確実です。

 このコラムを書き終わったら、上野04060651動物園で野生猫の仔が生まれたというニュースを新聞で知り、今度は猫を見に行かなければならないと、今からそわそわしてなりません。