「ペットフードで健康になる」を評する Ⅴ

犬・猫用ペットフードには、アメリカにおいて2種類の栄養基準が示されている。

その一つがNational Research Council→米国科学アカデミー・米国学術研究会議

もう一方がAmerican Association of Feed Control Officials→米国飼料検査官協会。

通常、NRC、そしてAAFCOと呼ばれている。


NRCは1974年に犬、1978年に猫用の栄養必要基準を公表した。

AAFCOはこれに遅れ1990年に犬、1991年猫用の栄養専門家小委員会を設立した。

必要な栄養素(エネルギー密度・たんぱく質・脂肪・リノール酸・ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガン・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK・ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・ビタミンB12・葉酸・パントテン酸)について、それぞれの数値と根拠が示されてある。


若干の差があるにしても(検索すれば比較も容易に出来る)どうしてこのような2通りの研究がなされたのだろうか?

NRCは公的研究機関であるからなのかどうなのか、NRCの栄養基準に合致しているペットフードと表示されているフードはない(禁止されていると聞く)。

何故禁止されているのだろうか?


それに比べて、業者団体によって示されたAAFCO基準に準じた商品であることをうたったペットフードは数多い。

うがった見方をすれば、NRCの基準に合致したフードを製造することは、業界としては採算に合わないために業界独自の基準を設けたのではないか?

どちらにしても使用する主だった原料は、畜産、穀物などの食品廃棄物であることは共通していて、おそらく人間の口には入ることはないであろう代物である。


いったい動物の死体とは何なのだろう。

前にも紹介した、カナダ在住のアン・N・マーチンが書いた「食べさせてはいけない!」「恐ろしいぺットフード」(白楊社)に寄れば、それは犬や猫の死体も含まれることになる。


日本の一般社団法人ペットフード協会もペットフード公正取引協議会も業界団体で、この団体に加盟しているメーカー、あるいは輸入業者は、AAFCOの基準に沿った商品であることをうたっているところが多い。

しかし、これらの商品が、NRCなりAAFCOの栄養基準を満たしているのかどうか、第三者が検証分析したデータは、私が知る限り見たことはない。過去にペットフードを取り上げた「暮らしの手帳」で、この検証をやってもらえないだろうかと密かに思っている。


次回、坂本さんが亡くなられてから法整備がなされた「ペットフード安全法」について触れてみようと思っているが、このような法が整備された、その流れの一翼を坂本さんの活動が担っていたところもあるのではないかとも思うところがある。

 
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