違いが分かる人

多分、誰でも知っている「違いが分かる男」という何十年も続いているTVCMがある。
毎年のように変わる歴代のキャラクターを思い浮かべると、確かにこの人は違いが分かる人なのだろうと納得するところがある。
しかし、二つの点において合点のいかないところがある。
その一つは、この商品がインスタントコーヒーだということなのだ。
決してインスタントコーヒーをけなしている訳ではないが、いかにも違いが分かっている男に違いないと感じられるキャラクターが、インスタントコーヒーはないだろうと思う。おそらく、そのギャップの面白さが狙いなのかも知れない。
二つ目は、何故「違いのわかる女」では駄目なのだろうか、ということだ。
多分、このコーヒーの消費者が圧倒的に男性であることが理由だと思う。ビールのCMも男性のキャラクターがほとんどだと思うが、いまどきは、コーヒーもビールも女性をターゲットにしたらどうなのかと余計な事が頭に浮かんだりした。

余計な事を書いてしまったが、一体、何が言いたかったのか頭を整理して最初に戻ると、「違いが分かる男」と言うのなら、違いの分からない男もいることが前提になるのは自明だ。
永い間、違いが分かる人と分からない人との差がどうして生まれるのか、それをいくら考えても分からないことに悩まされている。

何でこんな話を長々書いたのかと言うと、一昨日8時の閉店間際に、馬骨のスープを教えて頂いたお客様のHさんがみえて、ラーメンのうんちくを一時間近く聞き、そのラーメン話に正直感銘を受けたからなのだ。
内容をここに書き表すことはとても叶わないが、これまで限りがないほど聞いてきたラーメン話で、これほど感心して聞き入った体験は無い。
今、Hさんは、ラーメンだけでなく、犬のカートが前面に付いた自転車の開発に熱中しているという。
4頭の犬たちと暮らしている大の愛犬家で、なお違いが分かる男に違いないHさんが作り上げる自転車の完成が楽しみでならない。

 
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