カロリーの話

 「犬や猫たちにとって、一日に必要なカロリーは?」
「どの位の量をあげればいいんですか?」
この2つの質問は、今までの仕事を通じて最も多かった質問です。と同時に最大の難問でもあります。
その理由は、犬や猫たちの基礎代謝量が、現在のところ学術的に解明されていないからです。

 基礎代謝量というのは、生命を維持する(心臓・呼吸・腎臓の働き・体温や筋緊張の維持など)ために必要な最小限のエネルギー消費量のことをいい、風土・人種・性別・年齢・体格などによっても大きく異ります。
一日に必要なエネルギーの総量とは、

  • 生命維持に必要な基礎代謝量
  • 生命活動に必要な活動代謝量
  • SDA(specific dynamic action)…「SDA」とは食物の特異動的作用のことで、特に動物性の食品を多く食べると、食後安静にしていても代謝量は増加します。

 の総計だと考えられています。
以上は人間の場合の話で、日本人の栄養所要量は厚生労働省により、年齢・男女別に目安となる数値がそれぞれ定められています。この数値をオーバーすれば、肥満の原因ともなるのです。

 しかし、犬や猫たちの場合、この基礎代謝量の数値が定められていないため、必要なカロリー、その適量を算定する基準がありません。

 100CLUBでは、あくまでも目安として体重1kgに対し、35~65kcalを提示しておりますが、この数値も体験から考えられたものに過ぎず、幼犬・幼猫・妊娠犬・妊娠猫・スポーツドッグ等々、この倍位のカロリーを必要とする犬や猫たちもいるかも知れません。したがって、それぞれの体質・飼育環境・フードの内容等により、適量を与えるための要件は千差万別であると言うことになります。
正しい栄養を与えるためには、肉食動物である犬や猫たちの本来の食餌をバランス良く与えること。そして、その量は毎日の飼育を通じて観察を続け、量を増減し、肥満にならず痩せ過ぎないような、最適なカロリーを飼い主の皆様自身が探し出すことしかありません。
人も犬や猫たちも健康の源は「食」にあります。何よりも健康に育てることが優先されなければならないし、その正しい実践こそが真の愛情ではないかと思います。

 
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