ようやくゴール

愚痴を云うつもりはないが、ゼロから新たなものを作り上げる苦悩は筆舌に尽くし難いものがある。
だから何も云わない方が良いし、云うべきではないのかも知れない。
ところが歳のせいなのか、涙もろくなったし愚痴を口走ったりするようになってきた。
100CLUBのお客様は、私より若い方がほとんどなのだが、一人、さほど変わらないだろうと思われる男の方がいらっしゃる。
その方は、「・・・100の子たち」にも紹介したスタプー「マリ」のパパさんで、とても粋な男性だ。
そのHさんに私が「最近涙もろくなってしまって・・・・」と云うと、しばらく黙っていたのだが、「いやぁー、思いっきり泣いてみたいことはありますねぇー」と云った。
私は大笑いをしてしまったが、本当にその通りだし、こんな素敵なことが云えるHさんに対しこれまで以上に親近感を持つようになった。
こんな話を若い人に話してみても、どこが面白いのか判らないかもしれない。
歳を重ねるごとに琴線の数が増え、様々な事象がその線に触れて、泣いたり笑ったり感傷的になったりと、心は千路に乱れるばかりなのだ。
この3ヶ月ほど、15年前に100CLUBを始めた、その初心に返って、改めて新規商品の発売にこぎつけることが出来た。
先日ショップにいたら女性のお客様が見えた。
たまたま私が接客したのだが、何となく見覚えがあるお顔なので、私が
「あのぅー、初めてじゃないですよねぇー」と云ったら
「私、三軒茶屋の頃からお世話になってます。」と笑いながら云った。
慌てて
「ご免なさいねぇー。すっかり呆けちゃって」と、平身低頭しきりだった。
そのお客様が帰られた後、今度は涙が止まらなくなってしまった。
もう、どうしようもない体たらくなのだが、とにかく頑張りぬいて、明日の発売を迎えたい。
もしかすると今夜も徹夜になるかも知れない。

 
scroll-to-top