「ペットフードで健康になる」を評する Ⅸ

アレルギー特定食品を一切使用しないという原則を実践するためには、一体どのような食材を与えるべきなのだろうか。

なお、捕食動物であることを考慮して、草食系の動物を丸のまま与えて問題の無い食材とは何か。


私たちの周辺で、人間以外の動物をざっくりジャンル分けすると、家畜動物、野生動物(保護下に置かれている動物も含める)、展示用動物(動物園・水族館など)、愛玩用動物)といってよいと思うのだが、このうち野生動物は当たり前に自然食を食べている。そしてより自然食に近い食餌を与えられているのが展示用動物で、家畜と違い出来るだけ自然に近い食餌を与えられ、健康第一に飼育されていると思われる。


愛玩動物、つまり犬や猫たちは残念なことに家畜という位置づけであるため、家畜の飼料として、いわゆるペットフードなるものが発明された。

そしてその目的は、食品廃棄物の有効活用を主たる目的としていたため、その健康面において大いなる問題を含んだものとなってしまったのだ。


野生動物も展示用動物も、健康に飼育することを目的としている以上、加熱乾燥飼料を与えることはない。

あくまでも、肉食、草食問わずRAW FOOD(生食)である。

その理由は、食物酵素という重要な栄養成分を重要視しているからに他ならない。

家畜ならば、おそらく半年~3年で食品に加工されるのであるから、それぞれの動物の寿命を全うさせる必要はない。


同じ家畜と位置づけられている愛玩動物である犬や猫たちに対しての飼い主さんたちの思いは、一日でも健康で長生きして欲しいと願いであるに違いない。


そこで、動物園の肉食動物は何を給餌されているのだろうか?

それはずばり馬肉と週に一度の生きたウサギというのだ。一昔前は鯨肉を用いていたそうであるが、今は馬肉だという。

以前、秋田の男鹿水族館に行ったとき、白熊の食餌のメインも馬肉だった。


アレルギー特定食肉でもなく、また野生動物の肉でもなく、家畜として管理され、反芻動物でなく偶蹄目でもなく、また馬という動物の性質から、過密飼育が出来ないことで、その飼料として、抗生剤、ホルモン剤を使う必要がなく、栄養成分のバランスも良い。飼葉で飼育され広い牧場で走り回っているきわめて健康な家畜動物であること等々、生食で求められる限り最も健全な食肉であろう。


坂本さんが本書を書いた目的は良く分からないところがあるのだが、坂本さんも本書に紹介されている国産ペットフードメーカー各社も、1975年、米国農務省によって定められた「犬の栄養要求量」という飼料の文献、いわゆるNRCとそれに続くAAFCO(業界団体)の資料を根拠として、そこにある本質的な欠陥から目を反らされていることに気付いていないのではないだろうか。

いや、もしかたら気付いているのかも知れない。


どちらにしても犬の餌は大昔から人の残飯処理、要するにゴミ箱扱いだったし、総合栄養食と銘打って犬の健康食だと言い募っても、その本質はなんら代わりがない。

それは可哀想だという立場で手作り食を薦める方たちも、肉食動物にとっての食材のリスクについてはまったく頓着していない。

この点において、NRCもAAFCOも炭水化物を良しとしたことに諸悪の根源があるのだと思われる。


狂犬病ワクチンが犬のためだと思っている方たちが決して少なくないことには驚くばかりだが、ペットフードも同様、私たち人間ために、犬や猫たちが健康を犠牲にして食品廃棄物を毎日食べさせられているといって差し支えない。

 
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