10年目の浮気?

ペットフードに異を唱え、肉食動物である犬や猫の食餌は生肉食で、馬肉に限ると、馬鹿の一つ覚えのように言い続けてきた100CLUBも、創業以来10年目を迎えることになった。
思えばこの間、生肉は危険だとか、犬や猫は肉食動物ではないから肉だけ与えてはならないとか、数え上げればきりのないほど、ごうごうたる非難も浴び続けてきた。
それでも100CLUBの「食」についての考え方にご理解を頂き、ご利用いただいている皆様の愛犬、愛猫は、ほとんど病気知らずの医者要らずで、そんな少数派の皆様に支えられ、何とかこれまでやってこられたものと心から感謝している。
そのような皆様から、非常時やペットとの旅行、ペットホテルへのお預けの際、冷凍馬肉食の不便さについて、多くのご意見が寄せられ続けてもいた。
旅行の際、大きなクーラーボックスを積んで出掛けたりするのは大変だ、というお話しも少なからず聞いてきたし、アメリカで開催されたディスクドッグの世界大会の時など、日本からの出場者に向け、その宿泊先に冷凍馬肉を届けたりもしてきた。
犬や猫たちの健康維持を最優先に考える皆様から、そのような非常時に、どんな食餌管理をすればいいのか尋ねられても、正直のところ明確な返答に詰まっていたことも事実だった。

ある日、お客様のIさんがショップに見えた際、どこか缶詰を作ってくれる所を知りませんか、と尋ねてみた。Iさんが、健康食品関連のお仕事をされていることを知っていたからだった。
数日後、「見つかりました!」というIさんからの電話があった。そして、その数日後には、Iさんと一緒に群馬県にある缶詰工場に向かっていた。

いつも不思議に思っているのだが、手造り豆腐、とか最近話題になった手造り餃子など、モノは手を使って造る事に決まっていると思うのだが、何故かわざわざ手造りという言葉を売り文句にしている。
世は、機械文明、そしてIT時代であるのに、ことさら手造りをうたうことで良質なモノであることを強調してみせようとしているのだろうが、中国で大量に安価で生産される冷凍餃子に、「手造り」と、うたい文句をつけるのは、余りにもあざとい所業のように感じるし、本当に手造りでコツコツ仕事をしている人にとって、はなはだ迷惑な話に違いない。

ところで缶詰の話だが、私が缶詰工場に持っていたイメージでは、自動的、機械的に肉が充填され、完成した缶詰がベルトコンベアに乗って続々と流れ出てくるのだろう、というものだった。
ところが、群馬県にあるK社では、肉の塊りを手切りでサイコロ状にカットし、一個一個の缶に丁寧に肉を詰める。そして詰め終わった缶を圧力釜に入れ1時間以上加熱調理し、それが終わると氷水に入れ2時間ほど冷却する。こんな、信じられないほど前時代的な製法で、一体、一日に何個の缶詰が出来るのだろうか。

黙々と作業を続ける、K社の小野寺さんの姿を見ていて、私は、京都の伏見で手造り石鹸を作っている「BISOUS!」の太田さんのことを思い出した。
モノには造り手の魂のようなものが否応なく反映する。ダメなモノにはそれがない。そして、美しい魂、誠実な魂がそのままモノに宿るのであって、モノを見ればそれと分かるし、人を見ればその人の造るモノが分かるということになる。

そんなことをボーッと考えているうち、これまで、かたくなに生馬肉食にこだわり続けてきたのだが、そのままの品質を缶に詰め込んでみよう、と心に決めた。この人となら、一緒に缶詰作りをやれるだろうし、やらなければならないと思ったのだ。
あれやこれやと、テストを繰り返した結果、間もなく犬や猫たちの食性に添った100CLUBの「食」のアイテム全てを詰め込んだ缶詰ができあがる。
ただし、加熱することによって食物酵素が失われるため、生馬肉食のような「理想の食」にはどうしても及ばないところがあるのだが、この缶詰に、別途「100%SUPLI・天然酵母+こうじ菌」をお使いいただけるならば、酵素成分を取り入れることになり、生馬肉食に近づいた食餌になると考えている。

0805121 一緒に缶詰を造ってくれた小野寺さんは、造りたての缶詰を開け馬肉を食べながら、
「こんなに美味しいものを犬や猫にやるのはもったいない」
と言ったのだが、そんなことはない。
人が食べられないほど危険な食を犬や猫たちに与えることは、動物虐待と言わずに何というのだろうか。
そんな積年の思いを込め、懸命に造りだした馬肉の缶詰が商品化した折には、ぜひとも一度お試し願いたい。

 
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