食餌の王道を極めた

水族館にとって、イルカショーは欠かすことの出来ない見せ場だったのだが、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲したイルカは使えなくなった。

繁殖したイルカはOKなのだが、この繁殖も簡単ではないそうだ。

水族館では、イルカショーを断念するか、繁殖にトライするのか、協会を脱退してあくまでも太地町からの調達を続けるのか、大混乱に陥っている模様だ。


このブログでも、水族館話やイルカ話は何回か書いたと思うのだが、とりわけ海に住む哺乳動物には興味がつきない。

一時は、海から上陸したこれらの哺乳動物は、犬や猫に進化せずに、また海に帰っていったのだ。

それでも、その食性は犬や猫たちとまったく変わらない。


イルカショーを見ていれば分かるように、イルカたちの食餌は鰯や鯖っ子などをまるごとで、その食餌につられていろんな芸を仕込まれる。

イルカの食餌は小魚のみで、不足なところはサプリメントするという考え方は、動物園と変わりなく、出来るだけシンプルに、自然の食性に則って給餌することがイルカの健康法なのだ。

この一年間、日本中の水産業界をしらみつぶしに当たって、犬や猫たちにふさわしい魚を探し続けてきた。

魚を探すだけでなく、それを万全な加工をして商品にしなければならない。またもや馬肉のときと同様、ぺットフードをやるわけにはいかないと、にべもなく断られ続けた。


そしてようやく石巻のY社に引き受けてもらった。

また、私は東北に縁を持つことになった。

この仕事が、復興支援の一助になるのかどうか、そんなに立派なことを考えている分けではないのだが、これまで何回もこの地を訪れ、何か出来ることはないのだろうかという思いと、振り返れば己の微力に愛想を付かしたことさえある。


Y
社の社員さんからも犠牲者が出てしまったと聞いた。

私の70年を振り返ってみても、2011年3月11日の出来事は最大級の衝撃であった。

現地に行ってみれば、いったい何処が復興したのだというくらい、その爪あとは生々しく、なお人々の心には消しがたい傷を深く残したままである。


ここに完成した「百鰯」「百鯖」「百秋刀魚」は、ある意味で、復興事業の只中から生まれた新商品であるとも言える。

しかも、これからの犬や猫たちの食餌にとって王道をいく商品であると自負している。

どうか、多くの愛犬、愛猫家の皆様のご愛顧をいただきたいと念じて止まない。