脱原発のシンボル

ショップのデスク周りを整理していたら、以前、丸木位里さんから頂いた、「臥竜 丸木位里墨画集」が出てきた。
丸木さんといえば、奥様の俊さんとの共作で、地元、広島の原爆被災地の救援活動の体験をもとに、日本伝統の屏風絵に「原爆の図」14部作を完成させた。
夫妻は、この大作を海外20数カ国に巡回展を行い、強い抵抗に遭いながらもアメリカでも展示を実現させた。

今日で東日本大震災から丸2年が経過した。
この原発事故を、丸木さんご夫妻がもし生きておられて知ったとしたら、どんな想いをもっただろうか。

ご夫妻の仕事は、「アウシュビッツの図」「南京大虐殺の図」「水俣の図」など、戦争や公害など、20世紀という時代の悲惨で過酷な現実をテーマとした。
しかし、それはご夫妻の共同制作であって、位里さんは水墨画で「牛」をモティーフに多くの作品を描き、俊さんは絵本の画家でもあった。

こんなことを言っていいのかどうか分からないが、共同制作では画家としてだけではなく、憤り心底に秘め反戦平和を訴え続けた活動家としての一面と、夫婦間の激しい人間としての葛藤までもが作品に表れたのではないかと推測している。
ノーベル賞候補にもなった大美術家に失礼な話なのかもしれないが、こんな大傑作を描ける絵描きは只者ではあり得ない。

作品は、埼玉県東松山の丸木美術館に在り続ける。

 
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