糖質カットのトレンド

10年一昔と言うけれど、二昔も犬や猫たちのフードに関わり続けている立場から、ふとこの業界を見渡してみて、そのトレンドの変化について考えてみた。


二昔前は、市販のペットフードに対する批判が、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどから日本にもたらされ、国内でもペットフードの危険性を指摘する情報が噴出した。

その批判の主たる理由は、防腐剤をはじめとする危険な添加物がてんこ盛りだというものが多かったと記憶している。


このような批判のもと、反ペットフードという立場で、国産のオリジナルフードを製造するメーカーが、雨後のたけのこのように立ち上がった。

私も反ペットフードという立場だったが、他のメーカーと違い、ただ単に、馬肉の原料を提供するだけのことで、メーカーでも何でもなかった。

今では馬肉屋さんも増えているが、当時はまさにドンキホーテの如く、たった一人でペットフードという不条理極まりない巨大な代物に立ち向かっていた。


そして、一昔前にはペットフード安全法という、何処も安全でないザル法が作られて、とりあえずペットフードが危険であるとの指摘は沈静化したように思っていた。

ところが最近になって、実際のところ添加物の危険性は変わりなく、相変わらずだと思うのだが、それよりもグレインフリー、とかカーボフリーとかを売りにしたペットフードが出始めてきた。

これは要するに、犬や猫たちに糖質を与えるべきではないという考え方であり、私に言わせれば、ようやくまともな考え方にたどり着いてきたなぁと言う感じだ。

いま、国際的には食糧危機が叫ばれている。この飽食の国、日本では、食糧危機のなんて何処吹く風で、大飯食いが芸と目されるのか、そんな直ぐにでもチャンネルを変えたくなるようなおぞましい番組が未だにまかり通っている。


中国、東南アジアなど新興国の経済発展と人口爆発が現実の問題として浮上しつつある現状、すでに食品を扱う日本の商社では、いわゆる買い負けという現実が深刻化しつつあるという。


このような時代に、人間の食品をそのまま犬や猫たちのフードにするということに対し、どんな国であろうと体制サイドでは、これを絶対に良とはしない。


犬や猫たちの殺処分をゼロにしようと行政が先頭に立って活動していて、その目的が動物愛護精神の発露であるかのような、得意の目くらましを行っているのだが、その本来の目的は、年間30億円前後の殺処分のコストを何とか抑えることが目的なのだ。


また、虚勢避妊手術を積極的に獣医が薦めるのも、癌を予防するのが目的だというような嘘っぱちを並べ立てているが、本当は、これ以上犬や猫が増えることを抑制しようというのが本来の目的であり、いわゆる断種政策を獣医師会が担わされているのだ。


このような例は枚挙に暇がない話だが、つまり、犬や猫たちに対する国の行政の本質は、食品廃棄物を何とか食べて欲しい、そしてこれ以上、頭数が増えないで欲しい。

また、コストの掛かる殺処分はやりたくない。

加えて言えば、狂犬病の予防ワクチンを奨励し、百億円単位のお金を集めたいなどなど・・・・・。


無論、このような体制サイドの権力には到底太刀打ちなど出来るはずもない。

ましてや、かなり老いぼれたドンキホーテに成り果ててしまった。

それでも、糖質を与えるべきではない、とか、ジャーキーなどおやつの主流も魚バージョンが増えつつある新たなトレンドの渦中、魚のレトルトアイテムを以って、ヨレヨレしながらも戦い続けていこうと思っている。

 
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