犬をペットと呼ばないで

人間としてあるべき正常な姿とは、一体どのような状態であるものなのか、最近トンと分からなくなってきた。

森美術館で開催された「会田誠展:天才でごめんなさい」の作品の一部が児童ポルノだとして論議を呼んでいる。
その論議に加わるつもりは無いのだが、この作品のタイトルが「犬」というので少し気になった。
会田誠という天才美術家(昨今のアーティストは、自らを天才といって憚らない人が多いように思う。)の倒鎖の世界観について、時代はまさしく現と幻が渾然としているのだから、特別なこととは思わない。

私がどうも気に入らないのは、以前コラムにも書いたのだが、犬をペットと呼ぶことなのだ。
この作品でも、全裸の少女に犬のリードをつけて隷属するという、実に通俗的なモチーフで、どこが天才なのかまったく分からない。
この通俗性も現代そのものなのかも知れないが、どうか犬を見下すような見識だけは改めて欲しい。
それとも、美少女と犬を美的に同等のものと捉えた、ということなのだろうか。
そうだとしても、この絵からは俗の極みしか感じられない。
この作家の大方の作品は、その下司な通俗性を現代の実態としてとらえテーマとしているのかもしれない。
まあ、どちらにしても聞いてみたいとも思わない。

 
scroll-to-top