犬や猫たちは人より偉い

このブログで紹介しようと、新聞の投書を切り抜いておいたのだが迂闊にもそれが見付からなくなってしまった。
したがって、ここから先はあまり頼りにならない記憶をたどりながらの話になる。

老婦人が2匹の猫を飼っていたが、その一匹が亡くなってしまった。残された一匹もだいぶ老猫だったのだが、しばらくすると全く食餌をしなくなってしまった。
続けての不幸を予想していたところ、あるきっかけで仔猫をもらうことになった。

老猫と仔猫合わせたところ、その翌日から老猫の食欲がもどり、仔猫をまるで母猫のようにかいがいしく面倒をみている姿に驚いた。
そして、その出来事に自分の人生を重ね合わせたとき、生きるということの意味を深く感じることができたと書かれてあった。

人がこの世に生きている間は、犬や猫のように喜びに満たされた世界であるはずだ。
昔、映画監督の鈴木清順さんと仕事で、四谷か荒木町にあった旅館に一週間ほど泊まっていたことがあるが、清順さんは当時若かった自分から見ると、ずいぶんいい加減な仙人のような人で、仕事というよりは、よく食べよく飲んで遊びまくっていたようなものだった。
清順さんは
「人の一生なんてぇものは、神様か、仏様かは知らねぇが、休息を与えてくれたんだ。だからこの世にいる間は思いっ切り遊んで楽しまなきゃいけねぇんだ」
そう諭されたので、それからはその教えの通りに私は生きてきた。

犬や猫たちはそれを当たり前のように体現している。
人もそうあるべきなのに、何故かどうでもいいことに悩み苦しむ人も少なくないようだ。
なかなか生きにくい世の中にはなってきているのかも知れないが、その苦しみの元は自我であり欲望なのだから、それを捨てれば一挙に楽しくなるはずなのだ。
それを捨てられる人を大人というのだと思うし、犬や猫と対等になったとも言えるのではないだろうか。

 
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