犬は何処から来るのでしょう?

 犬や猫たちの、取り分け食事管理を専門に仕事をしている私のところに、飼育全般についてのお客様からのご相談が、メール、掲示板、お電話、そしてショップに寄せられることで、知っていることについてはお話出来たとしても、自信の無いこと、また知らないことについてはお答えの仕様が無い訳ですが、それでは余りにもそっけなさ過ぎるではないかと思い、私なりに勉強したり、知っている人に教わったりしながらてんてこ舞いに毎日を送っています。
そんな私が、最近疑問に感じはじめたことがあって、ある行政機関に問い合わせたところ、その疑問が一層大きな疑問を生むことになり、こんなことに興味を持つ人はいないのではないかと思いながらも、混乱した頭を整理する意味もあってここにそのいきさつを書いてみようという気になったのです。

 疑問の発端は、これほど犬たちを飼育する人が増えて、そのこと自体は とても素晴らしいことだと思うのですが、その犬たち、特に流行犬などは、日本で生まれた仔犬だけで、はたして需要を満たすことが出来るのだろうかと、ふと思いついたのです。

 私も、昔はアメリカから犬たちを輸入した体験がありますが、
今では当時とは比べものにならない頭数が輸入されているに違いないという位の見当はついていましたが、いったいどんな国から、どんな犬種が、年間何頭位輸入されているか、皆様ご存知でしょうか。

 関係する行政機関に何度も連絡をした結果、ようやくのことで入手した資料は、平成9年~13年までの国別の輸入犬の頭数が明らかにされた資料でしたが 犬種については意図的に消去されていることがありありと分かったので、その点を再度お願いし明らかにしようと思ったのですが、分からないと言う一点張りで教えてくれません。

 平成9年度から平成13年度の犬たちの、国別輸入頭数のデータですが、
毎年、似通った数値ですので、おおよその頭数と、上位5カ国を示します。

1位 アメリカ 5000~7500頭
2位 台湾 2000~7000頭
3位 中国 600~850頭
4位 韓国 250~450頭
5位 オーストラリア 300頭前後

 という結果です。
先ほどお話したように、犬種についてはどうしても教えてもらえないため、ペット犬として輸入されているものなのか、動物実験用の犬たちも含まれるのか、誰が輸入しているのかまったく分かりません。

 私は、この知りえた情報に付いて、余り推量を働かせてコメントするつもりはありません。それなのに何故こんなことを書いたのか、というその理由ですが一つは、もしこれらの輸入犬がペットとして販売されているのだとしたら、ミックス犬を輸入することはあり得ない以上、当然日本でJKCの血統書が発行されることになります。
そうなってしまうことで、どんな国で、どのような環境で、誰がブリーディングしているのか、知ることが出来なくなってしまうのではないだろうか。
家族として共に生活し、愛して止まない愛犬の、真の出生が分からないということでもいいのだろうか、そんな懸念を持ってしまうのです。

 また、もう一つの理由は、2~3年ほど前イギリスで、日本のY製薬会社が、大量の犬たちを動物実験に用いていることを強烈に批判していたことを思い出したのです。

 感傷的に犬たちのことを思いやるつもりはないのですが、このたびのリサーチにおいても、資料を完全に公開せず(私の粘りが足りないせいもあるのかもしれませんが…)知られることは困ると考えているに違いない行政の対応は大いに問題があると思います。
犬や猫たちをはじめとするペット社会が、今後一層拡大するであろうと予想される状況下、私たち愛犬家に対し十分納得のいく理由説明があってしかるべきではないでしょうか。

 なお、申し添えれば、これらの犬や猫たちを取り扱う業者の人たちには、生命を畏れる感性を根底に持って事を成して欲しいと願うばかりです。

 やっとの思いで入手した、今、私の手元にある某行政機関からの資料には、「資料の取り扱いには十分注意していただきますようお願いいたします。」と書かれてあります。

 
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