犬はグルメではない

米、パン、砂糖抜きの食事を始めてから、一週間くらい過ぎたと思う。
なので、劇的に何かが変わったというほどのことでもないのだが、腹の膨張感がなくなったような気がする。
毎月血液検査をやっているので、今後3ヶ月間の推移を見てみようと思っている。
主治医にも炭水化物抜きを実践していることを告げたところ、北里大学の山田教授の炭水化物抜きの食事の講演を聞いて感動したと話していた。

ただ、先日の天皇誕生日でのメディア報道を見ていたら、如何に天皇様と米が密接につながっているかということを改めて感じ、こんなことをやっていることは相済まないとも思ったが、あくまでも実験であるのだし、それが健康上好ましいという結果が、数値として明らかになったとしたら、特に若い方々には「炭水化物が人類を滅ぼす」の一読をお奨めしたいとも思っている。

世の中には、肉食を忌み嫌う人たちも多くいるし、青汁ばかりで生活している人までもいる。人間の場合、「食」は健康上の問題だけではなく欲望をもっている。
最近では、グルメと呼ばれる大変「食」に貪欲な人たちが多く、TVやWEB上でもグルメ情報で溢れんばかりだ。
自分も人間の端くれで、相当に食い意地のはっているほうなのだから、そのことについていちいち文句をつけるつもりはない。

しかし、ほんらい犬は「食」に対して美味いとか不味いとかの感覚をもってはいないはずである。それなのに、犬を擬人化するあまり、健康、そして生命にもかかわるであろう「食」にまで人間の欲望を刷り込むようなことになってしまった。
ポール・ヴァレリーは
「動物は無駄なことはしないから、死について考えることもない」
という言葉を残している。

人間と犬との決定的な違いは、「死」に対する怖れをもっているかもっていないかの差なのではないか。
人間の罪の根源は「死」に対しての怖れであり、その避けがたい事実を知ってしまったことが人間の悲劇のはじまりで、その恐怖から抜け出すことは、個人的にはあり得たとしても国家社会ではむしろ増幅される。
したがって、世界平和は理想というか、もはや妄想に過ぎない事態が最近起こりつつあるような、どうも嫌な予感がしてたまらない。

 
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