幸福の黄色いバラ

毎日の散歩コースにある美容院の軒先に、見事な黄色いバラが咲き誇っていた。あまりの美しさに持っていたスマホで撮影していたら、それに気が付いた美容院の方が店から出てこられ、
「そんなに気に入ったのなら差し上げますよ」
と言われ、3~4本を切り花にしていただいた。
おかげさまで我が家の食卓には、数日間、その黄色いバラが飾られていてちょっと優雅な気分の食事を堪能することができた。

それから2か月位たって、家内がスマホで撮った画像を、「見てぇ!見てぇ!」と大はしゃぎしているので、「何なの?」と、少し面倒くさそうな返事をした。
すると今度は「バラがッ! バラがッ!」と変わらず興奮状態だったので「バラの写真なら前に見たじゃないか」
すると「そうじゃぁないよぉ。挿し木にしたら根付いたのよ。それにこれッ、つぼみじゃない」と、子供でもあるまいにスマホを振り回してはしゃいでいる姿にはあきれたが、いただいたバラを挿し木にしてそれが根付き、つぼみまで付いたとなると、その気持ちは理解できる。

この話には続きがある。
根付いたバラは、小さいながらも美しい黄色の花を咲かせた。
そして今度はそれをスマホで撮影し、切り花をいただいた美容室に行って見ていただいたら、その方が
「まるで孫に会ったようだ」
と大喜びしたと聞かされて、ちょっとウルっとしてしまった。
これからの丹精次第で、来年は大輪を付けてくれるかも知れない。
バラも、犬や猫たちも、日ごとの丹精を込めることこそが素晴らしい成果につながるのだろうと改めて考えさせられた。

 
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