巨星墜つ

今、私はきわめて複雑な心境で、苦しく深い回想の世界に閉じ込められている。

大島渚さんが死んでしまった。

どうしたはずみなのか自分でもよく解らないのだが、このブログの12月30日「無頼の優しさ」で友川かずきの事を書いた。
友川と大島さんとは深い縁で結ばれている。
大島さんは奥さまと一緒に、時折、洲之内さんの現代画廊に来ていた。
ある時、友川の個展をやっていた際「兎にしたって人間にしたって痛い時は痛い」というタイトルの作品を大島さんが買った。

「戦場のメリークリスマス」の主役は坂本龍一であったが、最初のキャスティングの着想では友川だった。
しかし、大島さんは友川に、その秋田弁を何とかしてくれ、と言った。
友川は、俺に秋田弁を直せということは、俺に死ねと言っている事だ、と言い放ってこの話を断った、というエピソードが残っている。

ここに、大島さんが友川について語った言葉を引用する。

「友川かずきのうたが胸にしみいるとしたら、君は幸せだと思え。涙があふれたら、君は選ばれた人間だと思え。君にもまだ無償の愛に感応する心が残っていたのだ。無償の愛がまだ人の世に存在すること、それこそが友川が身をもってあがない、あかしてくれたことなのだ。」
 
こんなブログなんかやっていていいのだろうか。

 
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