寒さで思い出したこと

今年の冬は寒さがきつい。
夜、8時までショップにいて、それから家に帰るまで10分強、自転車に乗って帰るのだが、相当に勇気を持って飛び出さないと一気に帰り着くことが叶わない。
去年の12月の気象データによっても例年より1・5℃前後低温だったということだし、雪国の積雪量もいつもの何倍も大量の降雪に見舞われているらしい。

雪といえば、昔、絵の仕事をやっていたとき、長野県北安曇郡美麻村高地という廃村に住んでいた「若栗玄」という画家と交友があった。
ある年のひどく雪深い日、若栗宅に幾日か泊めてもらったことがある。

若栗宅の家の縁側から見る、深い谷をはさんだ向かいの急斜面は真っ白な屏風絵のような景色だった。
若栗さんの奥様が、「毎年雪が降ると、人間はきれいに洗い流されるのですよ」と言った。
若栗さんは「この時期になると兎をねらって鉄砲撃ちが来る。撃たれた兎があの斜面を転がり落ちるのだが、その獲物を放置したまま帰ってしまうんだ」

この寒さにふと昔の1シーンを思い出した。

 
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