先に逝かれてしまった

「珀」が逝ってしまってから、このブログを何日分も長々と書いた。
しかし、それはとても公表できるようなものではなかった。
明日には49日を迎えることになるのだが、この間、ほとんど惚けていて仕事も手につかない状態が続いていた。

「珀」を逝かせてしまったことは自分の飼育の怠慢、油断によるところは明らかだった。
悲しみ、そして喪失感もただごとでは無かったが、己のミスで死に至らしめてしまったことの悔恨に激しく苛まれることになってしまったのだ。

「珀」は、渋谷のハチ公と同じで、秋田県の大館から送られてきた。
生後2ヶ月半。真っ白な熊のぬいぐるみのようで、スタッフ一同からアイドルのような扱いを受けて育ってきた。
それから12年近く、三軒茶屋、駒沢公園、用賀のショップが「珀」の住処だった。
同じ秋田犬の「虎次郎」「桜」、シェパードの「レイ」そしてスピッツの「雪の丞」の4頭が仲間だった。

したがって「珀」もそうなのだが、100CLUBのスタッフ犬の全てがペットというより、犬同士の群れの中で出来るだけ野生的に放任主義で飼育してきた。
ただ食餌は生馬肉食一本やりで、避けがたい遺伝的な疾病になって運命が左右されたことがあっても、全てのスタッフ犬が獣医知らずに健康そのもので育ってきた。

最近、2ヶ月間ほど、ようやく飼育の場所が自宅になって「珀」と「雪」は自宅でペットとして一緒に暮らすようになった矢先の出来事だった。
「珀」と自分は、種こそ違ってもほぼ同年齢で、お互い長生きしようといつも話し合ってきたのだが、こんな形で先に逝かれてしまった。

唯一の救いは、入院時の血液検査、そして死後の組織検査のいずれのデータをみても、死因となった卵巣膿瘍以外は健康体そのもので、腫瘍のかけらも無かったことだ。
食餌管理だけは間違ってはいなかった証明だと思っているが、それだけに己の怠慢が許し難く無念でならない。

今でも、毎晩家に帰ると「珀」の祭壇から線香の香りが絶えることがない。
多くの方々から慰めのお言葉をいただき、「珀」がこんなに愛されていたことに改めてその存在の大きさを思い知った。

同じ食餌管理で育った「雪之丞」だけになってしまったが、その「雪」も来月には12歳になる。
一時は、自分ももう潮時なのかなぁ、とも思いつめたのだが、こんな小さな「雪」の元気な姿を見ていると、もう二度と油断はしないと、気を取り直して改めて仕事に邁進しなければならないと思い直した。

 
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