二枚の犬の写真

昨夜、ブログを書きだした途端に、村上春樹がまたもやノーベル文学賞を逃したというニュースが飛び込んできて、今年こそはとシャンパンで受賞を祝おうと集まったハルキストたちをがっかりさせた。
ハルキストの儀式らしいのだが、集まった人たちがホットケーキにコカコーラをかけて食べているシーンが出てきて、それを見ていたら気持ち悪くなってしまった。

そこからは頭も混乱してしまい、ブログどころではなくなってしまい村上春樹をめぐる妄想ショーが脳を経巡って、椅子には座っていられなくなってベットに倒れこんでしまった。

東北大震災があった年の6月、スペインのカタルーニャ国際賞の授賞式でのスピーチ「非現実的な夢想家として」は賞賛と非難に声がもの凄かった。
非難する急先鋒の一つが藤原新也(写真家、今は書家?)の「村上春樹の空論」だった。
興味のある方はお調べ願いたい。

ここで言いたかったことは、その藤原新也がインド、チベットに惹かれ何冊かの写真・エッセーの本を出版し様々な賞に輝いた。1970代のことで、この本に触れた当時の多くの青年がその影響でインドの旅に出た。
私の周辺でも二人の友人がインドに渡った。その結果、多くの青年があの本はでたらめだと怒りまくった。

藤原新也という写真家は、写真とコピーが一体になった体裁で作られている。
例えば、渋谷のパルコの全盛時代、そのポスターは石岡映子をディレクターとして、写真は藤原新也、「あゝ原点」というキャッチコピーは長沢岳夫だった。
要するに藤原の写真には、他の写真家と違って多くの場合写真にコピーが乗っかっている。
CM写真家の典型みたいな写真家で、そのことを良いとか悪いとか言っているのではなく、一連のインド紀行の写真もコピーもドキュメントではなくフィクションだったのだ。

そういう一連の作品の中に、人間の死体を食べようとしている二頭の野良犬の衝撃的な写真に「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」というコピーが乗っている。
森山大道の「三沢の犬」とともに、この二点の写真は目に焼き付いて離れることがない。
いちいち写真を紹介したいのだが、それは権利を侵害することになるだろうからどうか検索してみてください。
今日も、まだ混乱から抜け切れていないようだ。