「食事」ではなく「食餌」

犬や猫を飼育していく上で、最も重要な問題をここに書きとめて置こうと思う。
これまで何度も繰り返し言ってきたことなのだが、新たに犬や猫の飼育を始めた方も多くいらっしゃるようで、改めて申し述べる意味があるかもしれない。

私は100CLUB創業以来、犬・猫の「食」について、「食事」と書いたことがなく、必ず「食餌」と書くことにしている。
それは、どっちでもいいものではなく、その違いこそ100CLUBの事業理念の根幹に係わる問題だからである。

人間の「食」は「食品」であり「食事」という。
人間以外の動物の内、いわゆる経済動物または家畜といわれる牛・豚・鶏などの「食」は「飼料」という。
前者は食品衛生法を始めとする法律によって「食」の安全が担保されている。
後者は、健康で長生きさせようとして飼育しているのではなく、出来るだけ早い期間で肥らせ出荷したいという目的が最優先されているのだが、その肉を人間が「食」とするのであるから、その安全を担保するため「飼料安全法」というかなり厳格な法律によって規制されている。

ペットフード(ドッグ・キャット)は「食品」でも「飼料」でもない。
したがって厳格な法律はなく、その安全性については担保がない。
いわば雑貨品なのだから、その材料が何なのか、どれほどの添加物が使われているのか誰も分からない。
そういう劣悪な「食」を、犬や猫の「食事」と言い募るのは、これこそが犬や猫を「擬人化」する象徴だといって過言ではない。

犬や猫という生命をリスペクトするということは、決して「擬人化」することではない。「擬人化」が過ぎれば虐待になりかねない。
先に述べたとおり「ペットフード」は論外のこと、「手作りご飯」などという、私のような者の療法食と見紛うようなレシピ本まで出版されている。
犬や猫の事をこれほど思いやっているのだと押し付けがましいことを言っているが、犬や猫にとってこれほど迷惑なことはない。
一体、犬や猫の栄養学の文献など何処にあるというのだろう。

夏休みに入って、何処の水族館も動物園も大賑わいだ。
そこで飼育されている動物や魚などは、いわゆる家畜として飼育されているわけではない。あくまでもその動物たちの食性に沿った自然な「食」を選択した「餌」やりを実践している。
それは、出来る限り健康長寿を願っているからに外ならず、何とか繁殖にも成功したいと思っているからなのだ。

どうか、お暇があったなら水族館でも動物園でもお出掛けになってみてください。
そこには、家畜としてではなく、何処までも動物たちにとって自然な環境が設えてあり、どのような「給餌」が行なわれているのか学んで頂きたい。
犬も猫も、水族館や動物園の動物たちと繋がっている貴重な生命に違いない。
そうであるならば、その適正な「食餌」とは何か、自ずと結論が出るのではないだろうか。

 
scroll-to-top