「ペットフードで健康になる」を評する Ⅲ

本書で7つの大罪の1つとして、ペットフードに含まれる添加物について書かれている。

油脂、酸化防止剤、合成着色料、着香料、乳化剤、発色剤。さらに防カビ剤、安定剤ゲル化剤、凝固剤、軟化剤、膨張剤などが含まれるという。

この中で特に問題なのが、エトキシキン、BHABHTで、発がん性が疑われる酸化防止剤だ。最近では、この3種については悪名が拡散したので、「自然派保存料使用」とうたってビタミンCEなどが使われているようだが、とてもそのようなものでは酸化防止効果は疑わしい。


ちょっと本書からの話から離れるが、以前「暮らしの手帳」でペットフード数種類の成分分析を行ったことがある。

その結果、エトキシキン、BHABHTなどの酸化防止剤は不使用とうたっていた商品から殆どもれなくそれらの成分が検出された。つまり各メーカーは偽装表示をしていたことになるわけだ。


本書が取り上げた各メーカーは、国産であり無添加ということが条件であったはずだ。

私には国産が良くて輸入が悪いという理屈は良く分からないのだが、坂本さんはそう考え、しかも大きなメーカーは取り上げず、新規参入したばかりの、極端に言えばまだ商品化さえ出来ていない会社もあったと記憶する。


したがって、一部のメーカーは除いて、従来のペットフードに対し批判精神を持って毒性の少ない良心的なペットフードを作ろうと、大真面目に真剣に取り組んでいるメーカーも数社あったように思う。

そうは思うのだが、フードの形態はあくまでもドライフードであり、その素材は厳選されたものであろうとも、油でコーティングした酸化をどのように防止するのか誰も説明はしていない。


坂本さんは、日頃、無添加でなければいけないと言っていて、そのような国産ペットフードメーカーを選びルポして本書を構成した。しかしそのような理想的な、商品は誰にも作れるはずもないのだから、本書は出発点から大きな過ちを犯してしまったのだと思う。

本書は、この手の本にしてはずいぶん売れた。そうなったことで、この本を読んだ読者は大いに混乱し、また現在に至っても、ここに掲載された何がしかのペットフードを与え、そのことで愛犬の調子を悪化させることになった愛犬家は決して少なくはない。


そうなってしまったことは一概に坂本さんの罪だとはいえないところもある。

坂本さんはUMA(Unidentified Mysterious Animal)に大変興味を持っている人で、何とかネッシーに会えないかスコットランドのネス湖にまで行った。

私は、そのネッシー話を徹夜で聞かされうんざりしたことがある。UMA、いわゆる未確認生物に思いをはせる、そういうロマンティストではない自分にとって、まったく興味のない話を徹夜までして聞かされるのは拷問に近い。


このエピソードは坂本さんを辱めているつもりではない。そういう坂本さんのような人が、犬たちのためとはいいながら、余りにも現実的で夢のかけらもないようなペットフードなど

 
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